そう。まず考えない。アベノミクスで景気は上向きと言われながらも、市井の人間にはまだまだその恩恵に浴するという状況にあるとは言えない。
それにそもそも、若者の間では車を持つと言うこと自体に疑問を呈されている時代だ。
それを裏付けるように自動車情報センタのサイトを見ると、国内の自動車販売は2003年の492万台から2009年には352万台まで落ち込み、2012年には457万台まで回復したが、これはご存じの通りエコカー減税による財政出動による成果であるから、なかなか根本的に需要を喚起できるかどうか効果の程は疑問である。
で、車が売れないのとおまえが20年前の車を買うのという問題との関連性は書いている本人もよくわからないのであるがそれはそれとして、先に進もう。
今、私が真剣に購入を考えている車、それはメルツェデスベンツのW124 500Eという車である。今を去ること20年前、バブルの余韻がさめやらぬ頃に発売された車で、ブルーノサッコによるドイツ車らしい質実剛健さとボディ下部に配されたサッコプレートと呼ばれるプロテクトモールによるスタイリッシュな造形と斬新なツートンカラーと相まってたちまち大ヒットなった。
ちなみにサッコプレートが初めて採用されたのは、当時、「六本木のカローラ」と呼ばれ大ヒットとなったBMW3シリーズを駆逐すべく投入された、190Eシリーズ(W201)、通称「小ベンツ」である。
W124 500E(現在のEシリーズ元祖) |
この車の来歴はググってみれば数多の記事が見つかるので、今更ここであれやこれやと書き連ねる必要はないが、一言で言うと、この車は「最善か無か。」という当時のキャッチフレーズを具現化するような、圧倒的な物量をつぎ込んで開発された車なのである。
これ以降、ベンツ(ダイムラー)は多角化経営の行き詰まりと90年のドイツ統合による不況の煽りを喰らい経営状況が悪化、社長を受け継いだユルゲン・シュレンプはそれまでの経営路線を大転換してコスト削減に大きく舵を切る。
コスト削減路線に転換後に発表された車はいずれも「最善か無か。」の黄金期の車とはかけ離れた凡庸な車となり、コストダウンによる質の低下はそれまでの顧客を失望させた。
真偽の程は不明だがW124の後継であるW210に乗り換えた客が余りの品質の低下に失望し、再びW124に戻ったために一時、W124の中古価格が高騰したとの説もある。
それから20余年、「最善か無か。」伝説は21世紀にも受け継がれ、この車の専業店もあるほど今なお根強い人気を誇っているのである。
-つづく-
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