ヤクルトファン1名と阪神ファン3名でバックネット裏で観戦ですが、座った早々、阪神先発のスタンリッジの立ち上がりを攻略して大量5点を先制。
阪神ファンが応援用のユニフォームに着替える間もなくの先制に関西弁の怒気を含んだ声が神宮に木霊します。
気温は20度くらい。肌寒いので皆さん、ビールではなく日本酒の熱燗をグイグイ行ってます。
試合は先発の赤川をうちあぐね、終始ヤクルトペース。このまま行くかと思いましたが、そう簡単には勝たせてもらえません。6回に連打で2点を返され、ここでグッと酔いの回った阪神ファンの気勢が上がります。
しかし、攻勢の兆しが見えたのも束の間、あろう事かピッチャーの赤川にタイムリーを浴びるという失態を演じて1点を献上、7回に阪神が2点を返すもその裏にまたまた、宮本にタイムリーを浴び、2点追加。8回にも福地にタイムリーが飛び出し、10点目。ほぼワンサイドゲームとなりました。
このあたりから阪神ファンのお酒が悪いお酒に変わり、キツいヤジが飛び始めます。
「コラァ! 和田、おんどりゃ、どう責任とるんじゃ!」
とか
「入場料、倍にして返してや!」
とか
「西岡、福留いらんでー。」
とか。
挙げ句の果てには、
「だから近大はあかんていうたんや!」
など意味不明なことまで、ありとあらゆる言いがかりや呪詛の言葉、罵詈雑言がグランドの選手に浴びせられます。阪神ファン恐るべしです。
鳥谷、平野が逃げたがる気持ちもわかります。もし良ければヤクルトへどうぞ。お金はそんなに払えませんが...。
そしてもう一つ気弱なヤクルトファンとしては気になることが。ご存じの通り、神宮球場は選手が引き上げるときにスタンドの脇を歩いて行きます。この一方的な試合展開では阪神和田監督が引き上げる際にキツいヤジと共にメガホン、ペットボトルなどが投げつけられるのは火を見るよりも明らかです。
この引き上げの時に心ないファンのヤジに激高したコーチ、監督が翌日のスポーツ紙の一面を飾る事が過去に何度もあります。私の心の中では、
「有田コーチ、ファンのヤジに激高!」
とか
「和田監督、ファンとにらみ合い!」
というデイリーの大見出しが目に浮かびます。
しかし、救いの神はいました。九死に一生を得る。地獄に仏。とはまさにこのことです。
阪神タイガース背番号6。そうです、アニキこと金本選手です。
9回先頭の今成が気のないスイングで凡退したあと、代打に金本が告げられると阪神ファンの大歓声が神宮に響き渡ります。マウンドには増淵。カウント1-2からの直球をフルスイング。放たれた打球はライナーでライトスタンドに。
その直後、地響きのような大歓声が神宮を揺らしました。本当に凄い歓声でした。このときはライト側のヤクルトファンからも大きな歓声が上がりました。私もよくわかりませんが、
「アニキー」
と歓声を送っていました。増淵は空気を読んだのでしょうか。
結局、この試合は10-4でヤクルトが勝利しましたが、試合後の記者の数は勝利したヤクルトよりも阪神の方が多く、ヒーローインタビューもダックアウトから引き上げる金本選手への大歓声でかき消されてしまいました。
ワンサイドのお寒い試合は金本選手の一発で帳消しとなり、家路につく阪神ファンは皆、嬉々としていました。
26日の試合ではアニキの値千金の一発でグランドにメガホンが投げられるという惨事は回避されましたが、それも束の間、翌々日9月28日のヤクルト-阪神最終戦でその悪夢は現実の物となってしまいました。
いくら腹が立ってもこれは頂けません。こんな仕打ちをするファンにいくら歓声を浴びても金本選手は喜ばないでしょう。
対ヤクルト最終戦の後、金本選手はお礼とお詫びと称してヤクルトファンにメッセージを残しています。
このメッセージを読み「浅いレフトフライで楽々タッチアップ」などと金本選手を揶揄するような雑文を書いたことを心から反省せねばなりませんでした。
このメッセージを読み「浅いレフトフライで楽々タッチアップ」などと金本選手を揶揄するような雑文を書いたことを心から反省せねばなりませんでした。
金本選手は本当に一流の選手です。長い間、おつかれさまでした。今度は指導者として再びグラウンドに立つ日を楽しみにしております。
侘助拝
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